台風一過の今日は、全国的に好天が広がっています。さてこの季節につきものの台風にちなんで、中世のなぞなぞ集から一問ご紹介しましょう。

「道風が陸奥紙に山という字を書く」。おわかりでしょうか(ヒント・みちのくは道を除くの意)。正解は「嵐」。道風の字から道を除き、残った風の上に山を書くと、嵐という漢字になります。実は昨年、この時期のメルマガにも同じなぞなぞを問いました。ご記憶の方もおみえになるかと思います。

作者は五百年前の後柏原天皇の皇子で、二十歳の知仁親王です。台風の呼び名もいろいろで、朝の嵐は「朝嵐」、夜の嵐は「夜嵐」、秋の初めの嵐は「初嵐」と呼ばれます。台風一過の澄みわたった秋の空と、天空の星々が輝きを増す頃です。

合掌

貴船川 玉散る瀬せの 岩浪に
氷をくだく秋の夜の月

藤原 俊成千載集

秋の彼岸に入りました。日本人は人が亡くなった時に「冥福を祈る」という言葉を使いますが、はたして冥福とはどのようなことなのでしょう。冥福という言葉は、本来仏教から出たものです。所謂、冥土の幸福ということを略したものです。

冥土というのは、禅僧一休の「門松や 冥土の旅の 一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」の有名な歌にもありますように、死後の世界を冥土というのかといいますと、冥には、片あかりという意味があります。丁度スダレのように、片方からはよく見えるが、反対方向からは見えないということです。

死後の世界からは、この世の有様はよくわかりますが、この世の私たちには、死後の世界が分かりませんから、死後を冥土といわれるのです。ですから、冥福を祈るということは、亡くなった人の幸福を祈るということです。肉身や知人、友人が亡くなった時には、殆どの人が使用する言葉といってもよろしいでしょう。

釈 正輪 拜