毎日蒸し暑い日が続いていますが、いよいよ二十四節気の中でも一番暑い「大暑(たいしょ)」を迎えます。強烈な日差しが照りつけ、寝苦しい熱帯夜となることも多くなります。また夕立や局地的に激しい俄雨が降りますが、近年では半端ない集中的なゲリラ豪雨に、大変な被害が彼方此方で起きています。

被災された方々には心からお悔みと、亡くなられた方々には、慎んで御冥福をお祈り申し上げます。

合掌

念力の ゆるめば死ぬる 大暑かな

村上鬼城

「暑くて出掛けるのがおっくうだなぁ」。強い高気圧によって晴れる日が多く猛暑となる今年。こんな声が例年より多く聞こえてきそうです。さて、「面倒だ」「気がすすまない」の意味で使われる「おっくう」ですが、漢字で書ける人は意外と少ないのではないでしょうか。答えは「億劫(おっくう)」です。

元は「億劫(おっこう)」とも読み、億は数の単位を表します。そして劫は時間の長さを表す仏教の言葉。その時間についてお釈迦さまは次のような喩えで説かれています。

四十里四方の大盤石(巨大な岩)があります。そこへ数年に一度天女が舞い降り、その羽衣の袖が盤石をなで、また天に戻っていきます。これが際限なく繰り返されるうちに、いつしか岩は擦り減ってなくなりますが、それよりもずっと長い時間と教えられます。気の遠くなるような時間がかかることから、「面倒」の意味が出たようです。

では何故、「劫」という長い時間が仏教では用いられるのでしょうか。それは仏さまが私たち衆生を救済しようと思惟なされた、果てし無い時間を表されているのです。罪悪の深い私たちを救うには、気の遠くなるご苦労が必要だったのです。劫で表現される悠久の時間を思うと、人生はほんの一瞬。そう知らされると何事も、「億劫」とは言っておれず、人生の目的に向かって精一杯生きる日々に変わってくるのではないでしょうか。

生死事大 光陰可惜 無常迅速 時不待人

しょうじじだい こういんおしむべし
むじょうじんそく ときひとをまたず

釈 正輪 拜