この季節、茶の湯に「夜咄(よばなし)」という茶事があります。しんしんと冷え込み、雪も降るような冬の夜に、暖かみと温もりをおもてなしの第一として、親しい客を招きます。炉には赤々と燃える炭火に、釜の湯はしゅんしゅんと沸いています。

そこで手燭や燭台の揺れる灯火を風情に、茶を介して尽きない話を楽しみます。「冬は暖に、夏は涼しく」、ただそれだけが茶の湯の原点です。

さて節分が近づいてきました。節分は、旧暦の時代のお年越し。立春から新しい年の始まりとされ、いまでも厄年や還暦などの始まりは、立春からと考える人も多いようです。いわゆる節分は大晦日でもあるのです、昔「お化け」といって、この日に仮装して過ごす風習がありました。

このような異装を行うのは、普段と違う姿をすることによって、節分の夜に跋扈するとされる鬼をやり過ごすためだとか。今流行りのハロウィンなのでしょうね。

合掌

節分や 鬼も医師も 草の戸に

高浜虚子

ところで日本全国にどれだけの寺院があるかご存知ですか?約七万七千ヶ寺。実はコンビニ(約五万店)よりはるかに多いのです。

これだけ多くの寺院があるにも関わらず、日本人は仏教から縁遠くなっています。

仏教には年を取ってから用事があると思われていますが、これは大きな間違いで、人生かなり損をしています。仏教は若い時に聞けば聞くほど、その人に豊かな果実をもたらしてくれるからです。

現在放映中のNHK大河ドラマ「おんな城主・直虎」の主人公井伊直虎は、若き日に禅宗の師家、南渓瑞聞から説法を受け、やがて城主となり井伊家の礎を築いていきます。また世界の著名人も言っています。仏教の教えに触れた、ドイツの哲学者ニーチェは、「仏教はキリスト教に比べて、百倍くらい現実的だ」と驚き、「仏教は、歴史的に見て、ただ一つのきちんとした論理的にものを考える宗教と言っていい」と述べています。

二十世紀最大の天才科学者といわれるアインシュタインも、「現代科学に欠けているものを埋め合わせてくれる宗教があるとすれば、それは仏教です」と仏教に大きな期待を寄せています。

また、世界文化史の大家、H・Gウェルズ(イギリス)は、世界の偉人のトップにお釈迦さまを挙げ、「私は公平にどの点からみても、世界で最大の偉人は仏陀釈迦牟尼である」「仏教は世界史上知られる最も透徹した知性の偉業であるということに議論の余地はない」とまで絶賛しています。実際、世界中の多くの若者が今、仏教に注目し、どんな教えかを知りたいと求めています。むしろ日本人のほうが、すぐそばにある宝に気がついていないのかも知れません。

釈 正輪 拜