小暑の候。暑中見舞い申し上げます。

白南風(しろはえ・梅雨が明けごろに吹く風)が吹く頃となりましたが、夏の暑さにまだ慣れないからだにこたえます。皆さんにおかれましては、恙無くお過しのことと存じます。

さて夏のはじめには、「暑気払い」を致します。じめじめしとした暑気のなかで、昔の人が疫病退散を祈願して、さまざまな祭りや行事を行ったのもわかるような気がします。

七夕もその一つですが、皆さんは七夕の作法をご存知ですか。七日の午前三時と五時と七時に、桃の葉または朝顔の葉、もしくは勿忘草についた朝露を集めて墨をすります。そして気持ちを落ち着けて、お星さまへの願いを短冊にしたためます。万葉の時代から連綿と続く、修験陰陽の行事です。

合掌

わが背子(せこ)に
うら恋ひ居(を)れば
天の川
夜舟漕ぐなる
梶の音(と)聞こゆ

柿本人麻呂、万葉集・巻十

 

過日の深夜、NHKETV特集「薬師寺 巨大仏画誕生〜日本画家 田渕俊夫 3年間の記録〜」を見ました。現在、奈良の薬師寺で、焼けた伽藍を復興する事業が大きな節目を迎え、僧が食事する最も大きい建物の食堂(じきどう)に、6メートル四方の巨大仏画を、日本画家の田渕俊夫画伯(74)が、生命の危機にさらされながらも描き続けているドキュメンタリーでした。

私が印象深かったのは、「仏画とは何か」を問い続けながら、「魂のこもった仏画」でなくてはならない。という信念で、線の一本一本を丁寧に、念を込めるが如く、3年間という長きにわたり描き続けている姿でした。そして画伯のある言葉に感銘を受けました。

雑草と言えども積み上げられてきた小さな命、その雑草のように、仏の教えも脈々と受け継がれて来ているのです。と

釈 正輪 九拜