yamadaデトックスソルト「MASSA(マーサ)」の成功で順調にスタートしたものの、製造委託先の突然の倒産で会社は一転して危機に陥ります。シルキースタイル山田奈央子代表取締役インタビュー第3回は、困難を乗り越えて学んだリスク分散のやり方と、二人代表制のバランス感覚について伺いました

 デトックスソルト「MASSA(マーサ)」シリーズは成功した。その後、自社商品の開発、販売に、もちろん、力を注いだ。3分間の泡パックでデリケートゾーンの悩みも解決するというドルチェローズ生ジャムウソープ。ジャムウとはインドネシアに古くから伝わる、植物の葉や根などの天然成分を伝統的な成分で仕上げたもの。インドのアーユルヴェーダから伝わったといわれる。あるいはドルチェローズスクラブ。砂糖の主成分、スクロースを使用したことで、肌が痛くないスクラブが完成した。木イチゴやザクロ種子、リンゴのエキス、オリーブオイル、マカダミアオイル、はちみつ、ローヤルゼリーなど、さまざまな天然由来の成分が含まれている。

 そして美磁ニストと名付けられた機能性下着シリーズ。6つのネオジウム磁石を装着したシェイプアップインナーの評判も高い。

 これらはテレビ、カタログ、雑誌、ネットなどを通じ、通販商品として売れている。

 しかし、彼女たちのビジネスがそれだけではないことは、すでにご承知の通りだ。その動機は、設立すぐの危機にあった。

「実は、設立1年目に倒産の危機があったのです。当時はMASSA1本の商売でした。そのMASSAを製造していた会社が倒産してしまったのです。ロフトさんなどで結構売れていたので、ある程度まとまったロットで注文をしていて、前払いで入金もしていました。ところが一向に連絡がない。電話しても出ない。業を煮やして出掛けていくと、夜逃げした後だったのです。お金は諦めるとしても、そのままでは信用を失ってしまいます。それこそ胃に穴が開くかと思いました。これで会社もあっけなく終わったなと一度は覚悟しました」

 結局、販売店には納期を少しずらしてもらい、その間に、社長は見つからなかったが、担当者を探し出しマッサージ・ソルトのレシピを入手し、代わりのOEM工場を見つけて作ってもらうことに成功した……、それで何とか難を逃れ、信頼をつなぐことができたのだ。

「必死でした。その経験から、1本被りではいけないと思い、ほかにも何かしなければと決意して、知り合いの美容クリニックに商品開発をやらせてくださいとお願いして、毎月コンサルタント料をいただくという契約を結ぶことができました。そこから始めて、その後、プロデュース業務も始めるに至ったのです」

 そうした同社は、設立以来ずっと、山田さんと上田さんの二人代表制を続けている。まさにパートナーだ。しかも二人で、常に喧々諤々の議論を重ね、お互いが納得するまで突き詰めると言う。開発と営業とか、経理・財務と事業といった役割分担もない。何であれ、二人で考え、二人で判断する。

 それでうまく行くのかというと、実は行く。一人がのめり込むと一人が引く。一人が突っ走ると、一人がブレーキを踏む。なぜか、そうなる。だからバランスが取れる。熱くなって喧嘩することもなく、議論を尽くして戦略を練ることができる。

「経営者は孤独です。だけど、特に女性の場合、それは辛いもの。誰かにわかってほしいと思うのが本音です。だからこうした経営スタイルは、一つの理想形ではないかな」と口を揃える。

 実は、最後に取材をした8月。山田さんは妊娠9月目だった。つまり、この記事が出るころには元気な男子を出産する。

「ぎりぎりまで働いて、後は遠隔操作をしながら、出産後、1カ月で復帰すると思います。これは中小企業の場合、仕方ないですよね」と笑う。

 自身が妊娠したこともあって、最近では、妊娠・出産・授乳という過程でどうしても体系が変化する女性のお悩み解決を目的としたインナーウエアの開発に関心が向いている。

 商品開発だけではない。そうした自身の体験をベースに、ワークシェアやキッズスペースなど、妊娠・出産を経ても、女性がキャリアを中断せずに仕事を続けていける、社会と関わっていける、そんな柔軟な仕組みづくりも考え始めた。

「もう一人、実は妊娠している社員がいるのです。あるいは、ママインターンを雇っていて、非常に助かっています。私たちには、優秀な人材を数多く正社員で雇う余裕はない。出産などを理由に、一度会社を辞めて、なかなか社会復帰できないでいるママさんたちは、優秀であっても、働く場所がない。そうした方々は、私たちには願ってもない存在で、彼女たちにとっても、柔軟な働き方ができる中小企業で働きながら少しずつ感覚を取り戻して、社会復帰ができるようになる。それこそ、WIN-WINの関係だと思っています」

 社内でさまざまな人たちがコラボレートし、また社外のさまざまな会社とコラボレートしていく。小さな企業が、大きな仕事を成し遂げていく、そんな理想の形を模索する。こうしたコラボレーションの輪が、もっと広がっていけば、日本はもう少し元気になっていくことができるのではないだろうか。

(文:赤城 稔)

ドルチェローズ生ジャムソープ

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ドルチェローズスクラブ

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